篠崎 酒造。 『朝倉:くず焼酎秋月』by 8823S : 篠崎酒造

「国菊あまざけ」の篠崎、九州豪雨被害からの再出発〜第1回〜

篠崎 酒造

原点に立ち返る日本酒づくり 九州北部豪雨からの再出発シリーズ第2回 7月の九州北部豪雨で甚大な被害を受けた福岡県朝倉市の酒蔵、篠崎では、例年より2ヶ月遅れで日本酒の仕込みが始まっている。 2017年度の清酒造りスタートの11月1日、蔵を訪れた。 初日は、本醸造酒に使う酒米、山田錦の洗米。 蔵人たちがストップウオッチで、米を水に浸す時間を計りながら、作業を続けていた。 4ヶ月前は泥水が押し寄せ、工場内は目を覆いたくなるような壊滅的な状況。 それでも、前を向いて復旧できたのは、工場内の泥の除去作業などを手伝ってくれた、普段はライバルの酒蔵仲間ら多くの人たちの助けがあったからだ。 待ちに待った日本酒造り。 蔵人たちの目はキラキラしている。 洗米は、米が水分を含みすぎても、水の吸い方が足りなくてもいけない繊細な作業。 杜氏の指示を受けた男たちが、時間を口に出しながら、勢い良く米を洗っていた。 それにしても、本醸造酒に山田錦を使うとは贅沢だ。 山田錦といえば、酒米の王様とも言われ、吟醸系の高価な酒に使われることが多い。 地元朝倉の山田錦を使う 篠崎は酒米の産地にもこだわりがある。 福岡県内のほとんどの日本酒蔵は、糸島産か兵庫県産の山田錦を使うが、篠崎では3年前から、蔵のある筑後地方西部の農家が育てたものを使用している。 篠崎の跡取りで経営企画部長の篠崎倫明さんは、「ある時、東北の蔵元に、『酒造りは地元の米を使ってなんぼじゃないの』と言われたんです。 その通りだよな、と思って」と理由を説明する。 確かに、どの酒蔵でも、かつては蔵のある地域の米を酒造りに使用していたはずだ。 倫明さんは「蔵は地域の方に支えられ、続けてこられたんです。 われわれとしても、地元の人に潤ってほしい。 そう考えて、地元産の米にこだわるようになりました」と話す。 とは言え、山田錦は育てるのが難しい品種。 朝倉市秋月などの農家に栽培を頼んでいるが、最初の年は品質も悪かった。 それでも、すべてを買い取った。 「地産で酒を造ってます、と言うのは簡単なこと。 そのためには、われわれも、覚悟を持たなければなりません」。 蔵の思いを意気に感じたのか、契約農家は年々、山田錦の質を向上させているという。 甘酒メーカーであり、日本酒蔵 素材からこだわる酒造りの背景には、40歳の跡取りの清酒への危機感もある。 「ここ数年は、篠崎の日本酒を再考する時期でもあったんです」 今や甘酒の国内トップメーカーである篠崎。 看板商品の「国菊あまざけ」が会社の売上の大半を占め、本格焼酎が続く。 江戸時代後期に清酒製造業として始まった蔵も、今では日本酒の稼ぎは、会社全体の数%に過ぎない。 ただ、「自分たちは何者か」と尋ねられた時、篠崎は日本酒蔵だと答える。 清酒造りこそ、約220年の歴史を誇る、篠崎のアイデンティティなのだ。 だからこそ、豪雨で大きな被害を受けても、日本酒製造を辞めるという選択肢はなかった。 水害は結果的に、「自分たちのやりたいことを考え直すチャンスになりました」と倫明さん。 「価値の高い日本酒を少数造っていく」という、これからの篠崎の方向性を示してくれた。 2011年に家業を継ぐため篠崎に入った倫明さんは、今シーズン初めて日本酒造りの現場にいる。 「やはり、自ら現場に立って、日本酒造りを経験しなければ、お客様にも、そして社員にも、酒のことを語れないじゃないですか」 水害をきっかけに地元との絆深まる 取材後、工場を出ると、見送りに来てくれた営業部課長の梅野尚平さんが、お年寄りの男性と笑顔であいさつを交わしていた。 「ご近所の方とこんなに親しくなれたのって、実はあの豪雨がきっかけなんです」 7月の豪雨被害直後、社員らは工場の復旧を後回しにして、高齢者の多い近隣住民の支援に回った。 今や日本トップの甘酒メーカーとして全国に進出している篠崎だが、そもそもは地元の人たちが地元の酒を愛し、支えてくれたからこそ、今がある。 蔵に恩返しをされた地元の人は、篠崎の新酒を心待ちにしているかもしれない。 初出荷は1月の予定。 今季のお酒は、心に染み入るに違いない。

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以下のインタビューは2017年9月に実施。 その日から復興に向けた活動を続ける中で心境の変化などはありましたか? 篠崎さん 以下敬称略 : 心境の変化という意味では、自分で言うのもなんですが、強い心をもって経営しているつもりですから、何かあったからと言って自分の信念や考え方が揺れ動くようなことは基本的にはないつもりです。 ただ、いっそう自分の想いを強くしたように思います。 地域の皆様と一緒に復興していくんだという気持ちもより強くなりました。 また、個人的な気持ちではありますが、今回のことで大事なものについて考える機会を得たように思います。 「公の心」というのでしょうか。 私どもの会社は田舎にある中小企業で、地域の皆様に支えられて商売をしています。 そのため、自社の売り上げや利益だけではなく、地域の皆さんに企業として寄り添うことを強く感じました。 朝倉市の復興は、まだ終わりでなくまだ道の途中です。 その中で、企業としてできることをやっていきたい、地域の皆さんの手助けをしたいと思っています。 お店の泥だしの作業では、ボランティアの受け入れをされましたか? うちの会社は、社員も結構いますので、最初の1週間くらいはまずは従業員の皆様の安全を確認し、その後の作業となりました。 そしてまず、民間のお宅でのボランティアをしています。 自分たちの作業とは別に、最初の1週間から外回りでボランティアをしましたね。 私は、営業を統括しているのですが、営業の部員を中心に外回り部隊を作って、地域の皆様の家に伺って、床や畳をはいで泥をかきだすような作業などを8月のお盆くらいまではずっとしていました。 口だけではなく体で示したい、そういう想いがありました。 その中で伝えたい事、紹介してほしいことはありますか? 取材に来ている皆さんが来たいと思えるようなサイトを作っていただければいいのかなと思います。 朝倉市がこれだけの被害を受けましたとか、こんなことが起こっています、のように災害の状況を伝えることももちろん必要です。 しかし、朝倉市は安心して来られる場所です、ということを、まずは伝えていただけると嬉しいですね。 (取材に来ている)皆さんには無関心にならず興味を持ち続けてほしいです。 インフルエンサーという言葉があるように、興味を持って発信してほしい。 その状況の中でも、嬉しかったことや得られたものなどはありましたか? 災害によって、いろいろな方が被災を受けている状況で、良かった悪かったとは正直なところまだ言える状況ではないと思っています。 ただ、私たちの会社にとって一つ得るものがあったとすれば、復興するということで、従業員が一丸となって事に当たることができた、ということかもしれません。 私たちにとって、「復興」は一つの大きな目標、逃れられない目標になりました。 この目標に向けて、私たちは口だけじゃなく、体を動かして頑張っています。 仲間で心が通じ合って、一つの目標に向かって一致団結して動く。 それは、以前のわが社には無かった雰囲気だと思います。

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